工法を決めよう

住宅の工法には、大きく分けてプレハブ工法、2×4工法、在来工法、丸太組工法(ログハウス)などがあります。
いちばん魅力だったのは、丸太で組むログハウスです。
それも、できれば自分で組みたかったです。
しかし、仕事をしながらでは、とてもその時間はありません。
注文するにしてもなかなか間取りが自由にできなくてあきらめました。

次に検討したのがいわゆるプレハブ型の住宅です。
工場でほとんど部材を作成し、現場では2,3日で組み立ててしまうというやつです。
2×4工法のものが多いです。
値段もかなり安いものがあり、惹かれましたが、断熱の方法がほとんど内断熱工法で、屋根裏など、
かなり夏は暑くなると言う話でした。

太陽の熱を利用して暖房やお湯取りをするというパッシブソーラーという考えで作られた
OMソーラーハウスに興味を持って、見に行ったりもしました。
これはかなりいいなあと思った時期もあります。



そこで迷い初めていた時に出会った本が、「いい家がほしい」という本です。
そこには、断熱だけでなく、気密、換気など、いままでボンヤリとしか知らなかった住宅の重要な要素が
残らず完璧に書かれていました。
まさに目から鱗の本でした。

まず、内断熱の構造では、どうしても壁体内結露が避けられないことに気が付きました。
現在の在来工法の住宅のほとんどはこの内断熱工法ですが、下の図にあるように、
内断熱では、断熱材は構造材である壁体内に閉じこめられます。そして外気との境目になる内壁の外側には、
薄い防湿シートが張られます。このシートは外からの湿気や、寒気を防ぐものですが、
非常に薄く、寒気が壁体内にはいるのを防ぐことはまず不可能です。

また、室内で発生する水蒸気は、断熱材のグラスウールの間から構造材の中にどんどん入ってきて、容易に外気との境目の防湿シートまで到達します。
そこで外気の冷気に触れて冷やされ、結露となります。
したがって、どうしても壁体内の外側には、結露が発生します。
これはどんなにうまくグラスウールを詰めても、避けられないように思います。

最近では、このグラスウールに変わり、発泡剤を使った内断熱工法もあります。
それだとかなり結露を防ぐこともできるかもしれません。
ただ、そうすると、結局、外断熱と同じ位のコストになります。

さらに内断熱工法の多くが、基礎に通気のためのパッキンを入れており、床下は外気と同じ環境になっています。
夏はいいのですが、冬は防寒のためには効率が悪い工法だと思います。

ここで注目されるのが、「いい家がほしい」で紹介されていた外断熱工法です。
外断熱工法は、建物の構造材の外側をすっぽり発泡断熱材でおおってしまう工法で、下の図にあるように
これだと室内で発生した水蒸気は、構造材の中に侵入しても、構造材自体が室内空間なので、外気に触れず、結露することがありません。
また、外断熱の断熱材は、発泡プラスチックなので断熱材自体が水分を含むことはありません。
床下も完全にふさいで室内空間と同じにしますから、寒気は入ってきません。

さらに「いい家がほしい」で紹介されていたソーラーサーキット工法という建て方では、この単純な外断熱の他に、
2重通気工法という画期的な工法も取り入れていました。壁と屋根を2重にして、完璧な通気と断熱を確保しているのです。

さらに、床下と軒先に手動の換気口を設置し、夏と冬で気密と自然換気をうまく切り替えて日本の自然環境に合わせていたのです。
これには参りました。
建てるならソーラーサーキット以外にないとまで思いました。

しかし、1つだけ問題がありました。
ソーラーサーキットの建築単価が非常に高いのです。
結局、純粋なソーラーサーキットはあきらめ、ソーラーサーキットの要素を取り入れた外断熱の家を
自分で工夫して建てることにしました。